
NPRのポッドキャスト「The high cost of a strong dollar」でビジネス英語
今回もNPRのエコノミクス系ポッドキャスト「PLANET MONEY」から。The high cost of a strong dollar(ハイコストなドル高)。アメリカの中央銀行がインフレの対処として金利をお幅に上げていて、その影響で日本も急激な円安の状況です。じゃあ他の国はどんな状況?をレポートしたのが今回のエピソード。急激なドル高による経済問題はラテンアメリカでは80年代に債務危機として手痛い経験をしています。今回はどうなっているのでしょうか?
目次
ザックリこんな話
80年代ドル高によりラテンアメリアで債務危機が発生(今と類似!?)
1970年代、メキシコのようなラテンアメリカの国々はアメリカドルを安く借りて道や橋などインフラを整備した。だけどアメリカが高インフレになってくると、FRBは金利をどんどん上げってた(どっかで聞いたような話だけど)。そうなるとメキシコのような借りてる国はドルの返済が困難になった。メキシコの通貨ペソはドルに対して価値がどんどん落ちいった。輸入品にあたるレコードも例外ではなかった。ペソの下落による下落にメキシコシティのレコード屋は一計を立てる。レコードごとに「A-1」「B-2」「C-5」のようなラベルを貼ってレジの横の黒板にラベルごとの価格を表示した。A-1: 80 pesos, B-2* 100 pesos のように。そして一週間ごとに通貨レートを反映した価格を黒板に書き込んだ。その間にもアメリカのFRBはドルの金利を上げ続け、メキシコの債務の返済にプレシャーをかけ続けた。そして1982年8月12日、メキシコ政府は債務の支払いを放棄することに。それがメキシコ経済の崩壊のきっかけとなり、多くの人が仕事や家を失うこととなった。そして危機は他のラテンアメリカ15カ国に拡大。そこから「Lost Decade」と呼ばれる経済の崩壊が起こる。そしてそんな状況が今またそこに。。アメリカドルは単にアメリカ自国の通貨という意味だけでなく、世界の通貨となった現代では金利上昇とドル高の影響がripple effect(連鎖反応)を起こしている。今回のエピソードではアルゼンチン、チリ、メキシコの今の状況を分析。
アルゼンチンの今
アルゼンチンのペソはアメリカドルに対してここ6カ月で25%の下落。通貨レートは単なる一指標ではなく、多くの意味をもっている。事前の話としてアルゼンチンの経済は80年代の債務危機以来、景気後退とハイパーインフレのサイクルを繰り返している。1982年以降、アルゼンチン政府は5回も債務の支払いができないことを債権者に伝えている。アルゼンチン人はペソを信用していない。アメリカドルをこっそり貯めている。靴箱のようなタンス預金をアメリカドルでしている。理由はアメリカドルの価値は時間が経ってもそのままだが、ペソだと価値が下がるため。アルゼンチンのインフレ率は100%! ただアメリカドルを買うという単純な話ではないみたい。アルゼンチン政府は外貨への両替をコントロールしていて一ヶ月に$20までしか両替出来ず。税も75%かかる。ので多くの人はブラックマーケットのような地下に潜ってしまう。これはbule dollar と呼ばれるレート。他にも株式や債権の取引レート用のドルレートが存在する。Coldplay がアルゼンチンでライブをしたとき。バンドとしてはギャラを価値が下がるペソでは欲しくなかった。プロモータはドルで支払いをしないければいけなくなったんだけどアルゼンチン政府はこのプロモーターにスペシャルレートでのドルへの両替を許可した。こういう対応もアルゼンチン政府は希少なドルを国から流出させずペソの崩壊を防ぐため。また、アルゼンチン政府としてはドル建ての負債を毎月やりくりしてドルで返さないといけない。そこにこのドル高。返済がより難しくなっている。
チリの昔と今
チリのペソはここ6カ月でドルに対して16%下落している。アルゼンチンほど悲惨ではない。チリは1982年の金融危機では深刻な影響を受けた国の一つだった。当時、チリはアメリカドルで多額の負債があった。実にGFPの70%! ドルが急上昇すると負債も急上昇していた。倒産がおき、20%以上のチリ人が職を失った。一年で14%も経済が縮小した。パーティーが突然終わりをつげ、いきなり型付けが始まった感じ。それが10年も。それ以降、チリは経済を再建してドル高に足しても準備をとった。一つは輸出量を増やすこと。具体的な例としてチリワイン。このエピソードで出てくるチリ人のワイナリーの経営者は80年代の金融危機で仕事はなくしてしまったが、銀行がお金を貸し渋る中、友人とワイナリーを立ち上げた。彼は単にワインを作りたいのではなかった。ドルを持って帰りたかった。彼のbigアイデアは新しい品種のブドウを誰も栽培しないような土地で栽培することだった。そして30年以上たった現在、彼はチリで有数のワイナリーになった。殆どワインを国外に輸出している。ワインといえばフランス、スペイン、イタリアといわれるけど、味がよければ市場が存在する。今ではチリは世界で4番目の量のワインを輸出している(上位はフランス、イタリア、スペイン)。チリワイン以外にもチリ人は輸出目的で銅山の開発や、多くの漁業船隊を拡大した。チリは輸出主導の経済成長の好例で、もっとも価値のあるものを世界に売っていく手法で、今では輸出産業は50億ドルの産業から1000億ドルの規模に成長。チリ経済の30%を占める。
このような輸出業者にとってドル高はグッドニュース。ドルで製品を売って。コストはペソで支払い。土地代や従業員への支払いはペソ。ただ新しい投資家にとってこのドル高はチリよりもアメリカへの投資に向いてしまい、チリへの投資は干上がりがちに。ドルが強いと輸入品は値上がりしてインフレ要因になる。今年に入ってインフレは14%上昇。かつては3, 2.5,4%くらいだった。影響は特に貧しい家庭には深刻で、子供に教育を与えて、テーブルに食事をもってくるだけの生活になってしまう。経済学者によると輸出にフォーカスした国ではドル高の恩恵がコストよりも上回りそう。でも利益とコストは不均一に分配されそう。
再びメキシコの話
それではメキシコはどうかというと、過去6カ月ドルはペソに対して下落。なぜ他のラテンアメリカみたいになってないの? 80年代、メキシコの金融分野は強力な金融規制がなかった。中央銀行は政治家から独立した存在でなかった。中央銀行の独立性がないと政府が財政支出をしようとすることを手助けしてしまう。これが今のアルゼンチンみたく強烈なインフレを起こしてしまう。もし大統領が大赤字覚悟で経済を活性化させるのに中央銀行にもっとお金をするように命令したとするとそれは経済運営としてはいい方法ではない。90年代半ばにメキシコは多くの改革を採用し、金曜セクターを強化した。そして新しく独立性のある中央銀行を作った。ここ一年くらいメキシコの中央銀行は利上げをしてインフレに対抗してペソ高を維持している。メキシコの大統領から利上げは控えるようプレシャーをかけれられているにもかかわらず。これが第一の理由。第二の理由は昔よりもメキシコ経済が弾力性がついたこと。80年代、メキシコは石油生産に超依存していた。ここ数十年 NAFTAのような貿易協定のおかげでメキシコ経済はもっと産業化され多様になった。今現在、メキシコの輸出の80%は工業製品でオイルは10%。グロバール経済での原油価格の変動によるダメージをやらわげれるようになった。仮に原油価格が落ちてもメキシコは他の自動車部品や繊維製品や家電製品でくいとめれる。過去にはできなかった方法で持ちこたえれれます。三つ目の理由はメキシコ政府が金融面の運営をしているから。一長一短あるけどメキシコ政府は過去10,15年経済運営を慎重にやってきた。ここ数十年、財政面の支出は保守的になった。GDPに占める割合も他の国の平均より少ない。高い貧困率に対しての対策やパンデミックからの回復にお金をつかうべきという議論もある。
手堅い経済状況を反映してのペソ高となっている。逆にメキシコは他の国より経済活動が弱い。これは明らかにトレードオフの関係。メキシコのペソはアメリカのドルの上下に左右されにくくはなったけどまだ、アメリカの経済の影響下にある。アメリカが風を引いたらメキシコは肺炎になるというジョークがあるほど。アメリカが(金利を)上げたりするとメキシコはそれ以上に上げたり下げたりしないといけない。(冒頭のDavid Bowieに絡めて)David Bowieは「I’m afraid of Americans. I’m afraid of the world」と歌ってたけど、「I’m afraid of the ups and downs of the dollar」もいいたかもね。というオチで〆。
詳細はトランスクリプション(Transcription)にて確認ください!!
明日から使ってみよう!
get into… (,,にはまる) *いい意味の方
MESSMACHER: So I was getting into David Bowie records, for example, and I remember how the price of those things suddenly skyrocketed.
PLANET MONEY より
I was getting into David Bowie records(私はDavid Bowieのレコードにハマっていました), このハマるは物事に夢中になる方のハマるですね。
自作例文
例: I am getting into Formula 1.
伝えたいこと: 「F1にハマっています」
芸のない例文になってしまいましたが、まんまですね。
in the middle of … (…の真っ只中)
ARONCZYK: People lost their jobs. Poverty rates increased dramatically, and an economy that had looked strong and growing suddenly looked like one in the middle of a depression. The crisis spread to 15 other Latin American countries, into other parts of the world, too – in Latin America, basically destroyed all economic progress for the next 10 years. It’s even called the Lost Decade.
PLANET MONEY より
an economy that had looked strong and growing suddenly looked like one in the middle of a depression. (経済は堅調だったけど突然不況の真っ只中に). in the middle of..は別のエピソードのときにも出てきましたね。
自作例文
例: We are in the middle of depression, we should estimate weaker sales growth than before.
伝えたいこと: 「不況の真っただ中にいるので、以前より弱めの売上予想をすべきです」
despite..(..にもかかわらず)
ARONCZYK: But in the mid-1990s, Mexico adopted a number of reforms, which strengthened its financial sector and created an independent central bank. In the last year or so, that central bank has been working aggressively to hike interest rates to fight inflation and keep the peso strong. It’s also kind of been flexing its independence, hiking rates despite pressure from Mexico’s president not to raise them. OK, so that is reason No. 1.
PLANET MONEY より
It’s also kind of been flexing its independence, hiking rates despite pressure from Mexico’s president not to raise them. (メキシコ大統領から利上げの圧力があるにもかかわらず、メキシコ中央銀行は独立性をみせびらかしった)。 despite と同じ意味で even though.. もあわせて使えるようにしたいですね!flexingは屈曲、曲がるという意味ですが、スラングで筋肉を見せびらかす的な意味もあるみたいなので、中央銀行が政府の要請に応じないというマッチョな例えでflex かなと。
自作例文
例: Despite he worked by midnight, he did not miss the appointment on next morning.
伝えたいこと: 「夜中まで働いたにもかかわらず、翌朝の約束も逃さなかった」
今年に入ってからの経済の変調については、他エピソードでも扱っていますので是非そちらも確認ください!
New Words
- spillover : 溢れる
- borrow : 借りる
- hike : 引き上げる
- turmoil : 混乱
- debt crisis : 債務危機
- throughout : 全体を通して
- vinyl : ビニール製
- allowance : 支給、手当、こずかい
- devise : 工夫する
- take into : 考慮する
- engulf : 飲み込む
- mess : 混乱
- call up: 連絡をとる、招集する
- dire : 悲惨
- crawl back from.. : .. から這い戻る
- vineyard : ブドウ畑
- outweigh : 上回る
- unevenly : 不均一に
- turns out : 判明する
- undersecretary : 次官
- deficit : 赤字
- juice : ジュース<、/li>
- adopted : 採用
- resilient : 弾力がある
- vulnerable : 傷つきやすい
- chugging along : もちこたえる
- insulate : 絶縁された
- pneumonia : 肺炎
- extraordinarily : 非常に